腰椎椎間板ヘルニアとはどのような状態か
Author:Yoshifumi Mahara - 2016年8月31日
こんにちは。
今回は、腰椎椎間板ヘルニアについて書いていきます。
腰痛の原因として有名な椎間板ヘルニアですが、実際に腰痛の直接的な原因となっているケースは、実はそれほど多くないです。
腰痛を訴えて整形外科を受診すると、多くの場合でレントゲンを撮影することになります。
その結果、腰の骨である腰椎の間隔が狭くなっていると、「椎間板ヘルニアの疑い」「椎間板ヘルニアになりかけている」といった表現で診断を受けることが多いです。
ここで「疑い」や「なりかけている」といった曖昧な表現をされる理由としては、レントゲン写真では椎間板そのものは写らないからです。
椎間板は腰椎の間にある線維軟骨で、椎骨同士の間のクッションの働きをしています。
ここに偏った力が加わることで、椎間板の中心にある髄核というゼリー状のものが押し出され、神経を圧迫するのが、腰椎椎間板ヘルニアです。神経の圧迫によるものなので、腰痛自体よりも神経の走行に沿った下肢の痛みや麻痺の方が特徴的な症状です。
ちなみに言葉の意味として、「ヘルニア」というのは「突出している状態」を表している言葉ですので、他にもヘルニアという名前の付く病名は色々あります。腰椎椎間板ヘルニアというのは、単純に腰椎の間の椎間板が突出している状態を意味します。
レントゲンでは椎間板の状態は写らないので、上下の椎骨の間隔から椎間板が押し潰されているのではないかと推測するのです。
それと併せて整形学的・神経学的な検査を行い鑑別を行っていきます。
神経の圧迫が強くなる方へ他動的に動かして症状の変化を観察したり、知覚・筋力テストを行って神経の麻痺の状態をチェックするなどです。
これらのテストでも陽性であった場合は、椎間板ヘルニアの疑いとなります。
整形外科の先生で、「椎間板ヘルニアになりかけている」という表現を使う方も多いようですが、その場合ヘルニアが疑われるのはレントゲンの所見のみで、おそらく整形学的・神経学的な検査に関しては陰性の場合がほとんどではないかと思います。
そのあたりの微妙なニュアンスが患者さんには伝わりにくく、「椎間板ヘルニアになりかけている」という言葉を、「椎間板ヘルニアと診断された」と受け取る方も多いようですが…
レントゲンと整形学的・神経学的検査で椎間板ヘルニアが疑われた場合は、次にMRIの検査を受けるように指示されることが多いでしょう。
MRIの検査では、レントゲンと違って椎間板の状態もはっきりと映りますので、確定診断として使われることが多いです。
MRIは、ある程度以上の規模の設備の整った病院にしかないので、近所の整形外科を受診していた場合は、紹介状をもらって撮りに行くことになると思います。
ここでヘルニアの存在が確認された場合に、腰椎椎間板ヘルニアという確定診断を受けることになるでしょう。
以前はこの時点で手術を勧められる場合が多かったですが、最近では椎間板ヘルニアの診断を受けたからと言って、必ずしも手術を勧められることはありません。
椎間板ヘルニアは手術をしないと治らないと思われていた時期もありましたが、最近では手術をしない保存療法で治ることもわかってきたからです。
実際に腰椎椎間板ヘルニアを経験された方で、手術をせずに症状がなくなった方も多くいらっしゃいますし、ヘルニア自体が再吸収されてなくなることもあります。
ただし、圧迫による神経の麻痺が強い場合や日常生活に支障がある場合など、状態によっては早急に手術が勧められることもあります。
腰椎椎間板ヘルニアの診断を受けた時点で不治の病を宣告されたと受け取る方も多いですが、保存療法で治る場合も多いというのは、非常に大事なポイントだと思います。
腰痛の方で「何年も前に椎間板ヘルニアの診断を受けたことがある」ということをおっしゃる方もいらっしゃいますが、間で何年も症状が落ち着いていた場合などは、切り離して考えて良いと思います。
その場合は、椎間板ヘルニアのせいだと決めつけずに、改めて現在の腰痛の原因がどこにあるのかを調べることをおすすめします。
今回は、整形外科で腰椎椎間板ヘルニアと診断されるまでの流れを中心に書きました。
本当は腰椎椎間板ヘルニアに関して別のことを書きたかったのですが、腰椎椎間板ヘルニアの説明のために長々と書いてしまったので、また次回以降に書こうと思っています。
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